情報管理術(ナレッジマネジメント)の活用法

ナレッジの構成要素である「データ」「情報」「知識」「知恵」の位置づけと定義を理解した上で、「ナレッジマネジメント」の活用法を説明します。

1.ナレッジを理解する

ナレッジとは、個人や組織が持っている「データ」「情報」「知識」「知恵」といった知的資産の総称である。

1-1.ナレッジの種類を理解する

データ

現象の中から、幾つかの目的をもって客観的に収集された素材のこと。売上数字などの経営数字や自然現象などの現象を収集・記録したものであり、加工前の原材料のことである。

情報

データを基に、特定の目的をもって検索・加工されたメッセージ性を持ったものであり、主観的な内容でも良い。

知識

作成された情報を人間が理解し分析し結果を踏まえて洞察を加えたもののことであって、価値を生み出すための材料となる。

知恵

知識を基に個人が持つ応用力・適応力を実践的に用いることによって、価値を創造する思考や行動となるもののことである。

1-2.ナレッジの2形態を理解する

ナレッジの形態には以下の2種類がある。

形式知

目に見える形で表出しているため、客観的に捉えることが可能で言葉や構造を持って「知識」として存在しているものである。
・実体的知識:データ、報告書、マニュアル等
・業務的知識:台本、商品知識、使用法、制度理解等

暗黙知

文字通り「人間が暗黙のうちに持っている知恵」のため、主観的で、言語化・形式化が困難なものである。
・経験的知恵:仕事のコツ、熟練の技術、あうんの呼吸等
・感性的知恵:センス、イメージ、直感等

1-3.ナレッジの保有者を理解する

ナレッジは、個人及び組織で保持しているものの2種類がある。

個人知

文字通り「個人が保有する知識」で、共有化が困難な経験やコツなどのことである。

組織知

個人知が「見える化」によって形式知になって集積されており、組織内の構成員が共有可能な内容のことである。

2.ナレッジマネジメントを理解する

2-1.ナレッジマネジメントの定義

ナレッジマネジメントは、企業や組織の内外にあるナレッジを意図的に経営管理し、新しい価値を創造する資産に変えていく経営手法である。

すなわち、ナレッジを「見える化」して共有することにより、いつでも誰でも活用できるようにすることにより、経営や業務の成果を創出していく手法である。

・上手な人のマネをして成果を上げる。
・他の人と同じ失敗はしない。

2-2.ナレッジマネジメントのアプローチ

ナレッジを「見える化」し、共有・活用する方針を出す

経営、事業、業務、人材マネジメントなどに必要なナレッジを洗い出す。

これを基に、必要なナレッジを、優秀な人のノウハウを「見える化」し「知のエッセンス」として共有・活用できるようにする。

ファシリテーションによりナレッジを抽出する

ナレッジファシリテーション技法を活用してナレッジを抽出する。

① テーマを設定する。
② 経験、ノウハウをふせんに書き出す。
③ 模造紙にふせんを貼り付ける。
④ ふせんを整理して切り口別の本質を抽出する。
⑤ さらに深掘りする。

このプロセスを通じて、経験やノウハウを「見える化」し、ナレッジを共有できるようにする。

ナレッジマップやナレッジシートで共有する

ナレッジファシリテーションで表出されたナレッジは、、全体は「ナレッジマップ」で、個別の詳細ナレッジは「ナレッジシート」で整理する。

それらを「ナレッジブック」の紙や電子データで保管する。

ナレッジを活用して成果を創出する

ナレッジを活用して、以下のステップで成長や成果に繋げる。

① 理解:内容が知識として分かっている。
② 実践:実際に知識として使用している。
③ 体得:身体に落とし込み成果創出するスキルや知恵にしている。

体得して仕事を行うことで、高い生産性で成果を出せるようになる。

ナレッジを継続的に進化させる

「見える化」されたナレッジは、実際の仕事で活用すると同時に常に改良していく必要がある。そのためには、新たに生まれたナレッジを表出して新しいバージョンを創り、レベルを高めていく。

2-3.ナレッジマネジメントの期待効果を理解する

個人レベルの期待効果

① 品質が保てる
・新人の育成期間の短縮や、配転者の早期戦力化が可能になる。
・ベテラン社員のうっかりミスが防止できる。

② 効率が向上する
・人、物、金、時間等の資源を削減することができる。

③ 効果が増大する
・顧客満足度が向上する。
・売上や利益が増大する。

組織レベルの期待効果

組織がナレッジマネジメントを実践することによって、組織の価値が向上する。

組織の価値とは、エンドユーザーや顧客や関係者等が評価する組織の価値のことである。

組織の効果として以下のようなことがある。

・事業に関するDNAやノウハウを共有し、組織のメンバーが成果創出していけるようになる。
・業績が向上する基盤になる。

3.ナレッジマネジメントの成功事例

4.ナレッジファシリテーター養成講座で情報管理術を学ぶ

情報管理術を体系的にマスターするために、ナレッジファシリテーター養成講座を開催しています。